髪を結う

祖母の詩

嫁ぐ娘を送り出す、その別れの準備でしょうか…

娘が離れていく寂しさと喜びが入り混じる

祖母の詩を見つけました

髪を結う

幼い頃してあげたように

あなたの長い髪をとかす

今もしつとりと可愛く

指にまつわる細い髪よ

あなたの心のように

優しくゆたかにのびて

手の中で匂う髪よ

家と苦労種の私を支えて

娘はもうすぐ二十九

あなたが泣かないのに

どうして私が泣けましょう

昔してあげたように

願をこめて髪をすく

あなたのように

悲しいことはすいて落として

このひと時の小さな幸せを

リボンで結んでみたのです

孫のあとがき

私の母は長女だったので、中学を出てすぐ就職し、実家の家計を支えるために長いこと仕送りをしていたと聞いたことがあります。なんとか毎日を無事終えるため、祖母も幼子を家に置き、働きに出ていたと聞いています。

貧乏で大変だった時期を一緒に乗り越えた娘が嫁ぐ日。ずっと近くにいた我が子が離れていく寂しさと、やっと苦労から解放させることができる嬉しさを胸に、感謝しながらすいた髪。

「ごめんなさい」と「ありがとう」を思いながらあなたが触れた娘の髪は、短く白い髪になり、いま私の隣に座っています。

あなたは「苦労をかけて申し訳ない」とずうっと思っていたようですが、あなたの娘は「一生懸命大事に育ててもらった」事しか記憶に残っておりません。

大丈夫だいじょうぶ。あなたの娘はとても優しく頼もしい私の母親になりました。

だから私の母は、自分の両親が年を取ったら「自分が両親の老後の面倒を見る」と決めたんです。そしてあなたが娘婿を我が子のように大事にしたお陰で、娘婿もあなたと一緒に暮らしたいと思ったのですよ。

そうしてviva!在宅介護が出来たんです。みんなあなたのお陰です。

だから私も在宅介護を選んだんです。

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