随想四季

祖母の詩

サルビアの花咲く日

何処までも青く澄んだ空の其のはるかな果を思う日まぶしいほど生々した眞赤な花に切れそうな望ノゾミをつなぐ日無心に土に帰る花びらもあり任せきった安らかな姿にふと静かなつぶやきを聞くのです  生まれてこのかた沢山な人に支えられ許して貰う事の方が多
祖母の詩

しその葉

しその葉は畑の隅に忘れられ言葉少なくつつましくほめそやされず生い立ちぬ   やがて花も見ぬままつみ取られもまれ、もまれて、しぼられぬ哀れその形なけれどひとくれのしそ、水に放ちし魚のごと生々と赤く拡がり沈みゆくゆるやかに実をば包み優しく静かに
祖母の詩

髪を結う

髪の長いあなたの娘。私の母になって以後、短い髪になりました。最期は白くて綺麗な髪色で、あなたの元へ向かいました。
祖母の詩

菜の花

生まれてすぐに天国へ旅立った私の叔父。それでも私はあなたの事をよく知っています。それは祖母が話してくれたから。愛しく話してくれたから。
祖母の詩

桃の花

あたりまえだが私の祖母にも幼き日があったのだ。物腰やわらかで優しかった祖母の小さな記憶をみつける。
祖母の詩

矢車草

祝えなかったこどもの日を忘れられなかった祖母の思いを見つけました。
祖母の詩

朝鮮のおじいさんへ

若かりし祖母の遠い日の詩。赤い表紙に守られた祖母の想い。いま孫の私の手元で開かれています。誰かに届けたかったあなたの気持ち。私が代わりに届けます。