サルビアの花咲く日に

祖母の詩

祖母は花を育てることが大好きで季節ごとにいろんな花を育てており、サルビアも毎年祖母の花壇に咲いていました。

※祖母が書き残していた通りに書きしています

サルビアの花咲く日に

何処までも青く澄んだ空の

其のはるかな果を思う日

まぶしいほど生々した眞赤な花に

切れそうなノゾミをつなぐ日

無心に土に帰る花びらもあり

任せきった安らかな姿に

ふと静かなつぶやきを聞くのです

   

  

生まれてこのかた

沢山な人に支えられ

許して貰う事の方が多い私

なけなしのお金を貸して

行方不明になった人の事も

娘をむちうち症にした人の事も

数々の恨みごとは忘れましょうと

優しくささやきかけるのです

  

タビの七十倍迄

許せる人になりたいと祈る日は

心がかるくなりました

何時も仰いだ空だけど

不思議に深く明るく見えました

何時も見ている花だけど

輝くばかりの緋の色で

今日は炎のようにも咲きました

孫のあとがき

誰の事も何についても、嫌なことひとつ口から出したことのない祖母でした。

  

サルビアの花は祖母がよく好んで育てていた花でした。小学生の時、サルビアの花を赤いスズランだと思い込んでいた私に「これはサルビアって言うのよ」とニコニコしながら教えてくれた祖母。

サルビアの花は、祖母が認知症になる直前まで育てていた花。祖母の趣味である園芸を、娘も孫も誰ひとり継承する者がいなかったので、サルビアの花を含め、祖母が季節ごとに見事な花を咲かせていた花壇は車庫になりました。

いま花を育ててみたいなあとたまに思うことがあります。祖母が元気な時に草花の育て方を教えてもらっていればよかったなあと後悔してます。

球根ひとつも育てる体力も気力もない身体とココロなのに、なんだか無性に植物を育てたい孫がおります。でもきっと満足に育てられずに枯らしてしまうのがオチなので、思うだけに止めておきます。

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