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なんだか怒る。なんだかすねる。なんだか悲しげ。そして廊下ですれ違っても目を合わせてくれない。話しかけても無視をする。そんな行動や感情を、時折見せるようになってきた祖母。
毎日ではないんです。何かのきっかけでその「怒る・すねる・悲しげ」が発動されるんです。でも理由がわからない。家族一同、悩みまくりです。
数週間は悩んだかなぁ…
易怒性・被刺激性の亢進
マシュマロのように柔らかな性格。おひさまのように暖かな笑顔。この状態が365日変わることなく続く人。私の祖母はそんな人でした。
そんな人でも般若の面の形相で怒る時がくるのです。認知機能低下というやつは、何をもたらすのかわからないやつなんです。
マシュマロが般若になる事を易怒性(いどせい)と言うそうです。「マシュマロが般若」は、私個人の見解ですが、易怒性(いどせい)は医学用語です。
些細な事で怒り、なんで突如不機嫌になるのか。こちら側(家族・介護者)からすると、祖母がその易怒性(いどせい)を発動させる事についての明確な理由が見当たりません。
ばあちゃんの怒りを取り除いてあげたい。日々笑顔で暮らしてほしい。孫としてはマシュマロが般若になるスイッチを探しだし、常にOFFにしてあげたい。
認知機能低下の進行は仕方ないと受け入れますが、それでもなるだけ穏やかに一日を送れるようにと手助けはしたいのです。
ということで、孫は「ばあちゃんの易怒性(いどせい)はどこから?」を突き止めるべく行動開始。
易怒性(いどせい)スイッチONの瞬間は廊下?
どうも廊下でよくぷんぷんしているご様子のばあちゃん。
どうしたの?
なんでもないっっ!(ぷんぷん😡)
いやいや、明らかになんかあったよね?問いかけた私を避けるように、自分の部屋へ戻っていきましたよね?
バターン!と、すごい音をさせながら閉まったドアを眺めながら「廊下に易怒性(いどせい)ONスイッチありそう」と予想した孫。またばあちゃんが廊下に出て来たら、こそーっと観察してみようとその時を待ちます。
易怒性(いどせい)の根源はトイレ?
ある日、トイレから出て来たばあちゃん。確実に涙目。
どうしたの?
(無視)
またバターン!。すごい音を立てながら部屋のドアを閉めるんです。怒るだけならまだしも、涙目になっているばあちゃんを見てしまったので、部屋までついていきました。
部屋で悲しそうな顔のまま佇んでいる祖母。訳を聞いてもなかなか答えてくれません。でも一言だけ「私が我慢すればいいんだから…」とガチギレ小声で教えてくれました。
ん???一体トイレで何を我慢する??
でもそれから先の核心部分にはまだ触れる事が出来ません。またばあちゃんがトイレに行くタイミングを見計らって再度聞いてみようと、見張りを継続します。
易怒性(いどせい)発動の理由がわかる
トイレかぁ…
トイレに理由があったのかぁ…
でも先ほどの用足しの後はルンルンしてたぞ…
易怒性(いどせい)を発動させてトイレから出てくる時と、普段と変わらない様子でトイレから出てくる時の2パターンが存在する事を突き止めました。
でもうちのトイレの何がばあちゃんの気に障るのか…
易怒性(いどせい)発動の原因は大雑把と安価
今度は涙目でなく、リビングのドアの隙間から、恨めしそうな顔してこちらを睨みつけているばあちゃんに遭遇。
どうかしましたか?なにか困りごとでもあるんですか?
ちょっと敬語を使って他人行儀に聞いてみる。
そこまでしなくったっていいじゃない!アタシだってこのうちに住んでるんだからっ!!(般若😡)
ソコマデシナクタッテと一体はなんぞや?
みんなでアタシにちり紙を使わせないようにって嫌がらせしてるんでしょ!!😡アタシがちり紙つかってないかどうか確かめるために、こんな風にしてるんでしょ!!😡
こんなにビローンてたくさん出して(そこまでしなくたって①)失礼じゃないのっ!アタシがちり紙に触らないようにするためにこんな呪い(そこまでしなくたって②)をかけなくてもいいじゃないのっっ!!!😡
ばあちゃん…
それは嫌がらせでも呪いでもなくて…
あなたの長女が大雑把な性格で…
そしてその長女が育てた孫も大雑把なもんで…
そんな大雑把な性格をしている人間が、安価なトイレットペーパーを使うとこうなるんですよ。気にならないの。自分のお尻を拭く紙がミシン目できれいに切れなくても。ギザギザにちぎれたトイレットペーパーの端なんかクルクル巻き取ればわからないの。
だらーっと床につくまで垂れ下がったら、それはさすがに巻き取るけど、ロールカバーから多少はみ出したくらいなら、私も母も後ろは振り返りません。だってそんな性格だもの…
でもばあちゃん、呪いって…
安価なトイレットペーパーは、残念ながらきちんとミシン目が入っていない場合があります。こちらの思惑通りに“ピシッ”と切り口が水平に切れない時があるんですよね。
おまけにちゃんとミシン目で切れないもんだから、引っ張って切るという力技で切り取り、巻取りをだらしなく垂れ下がらせたまま終わる。多少のピローンは気になりません。
このだらしなく垂れ下がったトイレットペーパー(そこまでしなくたって①)と、ピシッと水平に切り揃えられていない端(そこまでしなくたって②)が、祖母の易怒性(いどせい)発動の原因でした。
母親に事の一件を話して大笑い。
「そんな無理だよねー、トイレットペーパーの切り口とか毎回毎回気にするなんてできるわけないじゃん」と、母は笑い飛ばしてましたが、あの何とも悲しい涙目の祖母を見た孫は、このままでは終われない。
少しでも易怒性(いどせい)を減らすために
祖母の「怒る・すねる・悲しげ」の原因となっていたのは、母と私の大雑把と安価なトイレットペーパーのコラボレーションが原因でした。もちろん、祖母の易怒性(いどせい)の原因になる人・モノ・ことは、まだたくさん残っておりますが、ひとまず「いま買っているトイレットペーパーをやめればこの一件は収拾するはず」と思い、トイレットペーパーのランクを上げてみる事にしました。
私と母の大雑把は今更どうにもできない。
結構痛い出費だなぁと思いましたが、それなりの価格で販売されている大手メーカーの上質トイレットペーパーなら、ばあちゃんがトイレに入っても易怒性(いどせい)を発動させることはなくなるはず。
その選択は正しい選択でした。以後、祖母がトイレのその後に般若の面を被って出てくることは一度もありませんでした。
家族の怒りの原因が何かわからないと、介護する側は大変です。私の祖母は、幸いにも言葉でコミュニケーションをとれる人だったので、たとえそれが「呪い」という突拍子もない回答を投げ返してきたとしても、その理由がわかれば祖母の介護者である私たち家族は対処できます。
易怒性・被刺激性の亢進(ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、大声で怒鳴ったりする)は、その感情が介護者に向けて一直線に飛んでくるので、在宅介護においてはけっこう厄介な症状ですよね。
怒りも悲しみも疲れも一緒にいると伝播します。伝播し合いっこです。
もし、いまあなたの家族が訳もなく怒っている最中であれば、まずは易怒性(いどせい)発動の原因を探してみる事をおすすめします。
無理に寄り添ったり、諦めて我慢したりしないでください。でもほどほどの距離必要です。俯瞰で家の中を見てみてください。易怒性(いどせい)発動のスイッチは必ずどこかにあって、そのスイッチがONになる回数を減らすことが出来れば、少し世界が変わってきます。
正直に言います。100%OFFは無理です。
1日100回くらい易怒性(いどせい)発動のスイッチがONになるなら、80回くらいに減らすことにトライしてみましょう。
1日20回くらい易怒性(いどせい)発動のスイッチをOFFに出来たら、気持ちに少し余裕が生まれます。こうやって「少しずつ」を積み重ねていくんです。これ、結構バカにならない。
この一件で、今でも上質な大手メーカーのトイレットペーパーを使い続けている我が家。色んな物の値上げラッシュが続いている2024年でも、トイレットペーパーをグレードダウンさせることが出来ずにおります。だって拭き具合が違うんですよ。もうあの安価なトイレットペーパーには戻れない。
あ、ティッシュペーパーはとっくの昔にグレードダウンですけどね。
頑張る介護と頑張らない介護、うまく使い分けて“viva!在宅介護”をやっていきましょう。
MANOMA(マノマ)「親の見守りセット」
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