しその葉

祖母の詩

しその葉は

畑の隅に忘れられ

言葉少なくつつましく

ほめそやされず生い立ちぬ

   

やがて花も見ぬままつみ取られ

もまれ、もまれて、しぼられぬ

哀れその形なけれど

ひとくれのしそ、水に放ちし魚のごと

生々と赤く拡がり沈みゆく

ゆるやかに実をば包み

優しく静かに色染めて

くれないのかぐわしき梅とはなりぬ

しそありて梅

梅ありてしそ

白きびんの中ひそやかにより添いて

しそ、くれないに美しきかな

かなしきばかり美しきかな

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