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母がこの世を去って以後、父と私の暮らし方が変わった。容易にできていた事が出来なくなった。不必要と思われていたものに俄然頼るようになってきた。
わが家にとって、ロングライフパンは不必要のカテゴリに入っていた食べ物だったが、今となっては必要不可欠な存在になった。
父はロングライフパン(賞味期限が長い・長期保存できる)の存在を知らない。アルツハイマー型認知症となる前の世界で、ロングライフパンに関する体験も学習もしていないからだ。
なので、仏壇で見つけた「パン」の期限が、自分が目にしたその時点から1か月以上も品質を保ち続けることに理解も納得も出来ない。

パンってさあ・・・・ふつうダメになるまで2~3日じゃなぁい??おかしくなぁい??この日付。間違ってると思うけどぉ(不満)
父さあ、非常事態とかさあ、食べるもん要るだろ?そんな時に活躍するパンなんだぜこれ。備蓄。防災。色々考えて普通のパンとは違う作り方してるんだよ。だから日付間違ってないし、美味しい状態を長く保つことが出来るのよ。ということは仏さまたちにも長く楽しんでもらえるのよ。お供え物としても最適。
1日29万個売れた低糖質クロワッサンの【KOUBO】
そうロングライフパンを父に紹介し、ワンちゃんに「待てそしておあずけ」と言うが如く、仏さまにお供えしているロングライフパンに伸ばす手を制した。

でもさぁ・・・・・いままでこんなの見たことないよぉ(怒)ちょっとおかしいと思うー。パンだよぉ??そんなに長くはさぁ・・・(ブツブツブツブツ)
KOUBOのパンの賞味期限は長い。我が家がよく好んで購入する種類のパンの賞味期限は75日ある。このあいだ頼んだベーグルは60日だった。正直、ストックを賞味期限切れるギリギリまで置いておくほど胃袋の気持ちに余裕はなく、高速ローリング・短期ストックで食べきってしまうのだが、この長い賞味期限が私には物凄く有難い。この賞味期限で心穏やかになる。
父にとっては決して有難くない賞味期限のついたKOUBOのロングライフパンではあるが、そのお陰でアルツハイマー型認知症の父の脳から消えかかっていた「お仏壇への手合わせ」がバキバキッと復活した。
とはいえ、父の主たる思いはパンにある。ご先祖さまや先に旅立ってしまったわが妻にも多少のココロはあるようだが、手を合わせているその先に見ているものは60年以上連れ添った嫁ではなく、嫁が鬼籍に入ったのちに出会ったKOUBOのロングライフパンだ。
朝夕食後の1日2回のご挨拶が「基本2回、たまに1回なんなら0回」になりかかっていた父が
①朝食後
②午前中のおやつ前
③昼食後
④午後のおやつ前
⑤夕食後
の計5回仏壇の前に行き、朝食後以外は

今日も一日ありがとうございましたぁぁぁぁぁぁ!
という決め台詞で手を合わせるようになった。さすがに朝食後は「今日も一日よろしくお願いしまっす♪」と言っているが、それ以降は午前中であっても一日を締めくくっている。下手したら朝開けたカーテンを閉めようとすらする。
そしてロングライフパンの賞味期限を指先で悲しそうになぞって去っていく。父は真剣なんだろうけど、そのひと通りの行動を背後で見ている私にとってはもう毎回悶絶モンなのである。
まさかロングパンひとつで笑えるタイミングがしょっちゅう訪れようとは・・父のアルツハイマー型認知症の症状が、この先どう変化していくかはわからないけど、とりあえずこんな調子であと数年過ごせれば嬉しいなと願っている。
少し前、予想外の気温になったので、さすがに常温保存でも仏壇のある部屋に置いておくのはまずいかなと、気温が落ち着くまでパンを冷暗所に待機させることにした。その様子をたまたま目撃してしまった父が

いいと思うよぉぉぉぉぉぉぉ!!!うんうんっ♪まだ期限が来てなくてもその前に食べたってもいいと思うよぉぉぉぉぉぉ!!!!期限は単に期限てだけだからぁぁぁぁ!!!!%◎$●△#@+>&◇!!!!!
と聞いたことのない声のトーンとはしゃぎようで、首をブンブンとヘッドバンギングしていた。うわ、そんなに食べたかったんだ父。

・・・食べる?

うんっっ♡
父のその嬉しそうな「うんっっ♡」に負けて与えてしまった。まあ昼のおやつの時間前倒しくらいの時刻だったので、「お昼のおやつだからね!」と念押しして渡した。
その後、パンを食べたことをなかったことにしてお昼のおやつ時間定時にスナック菓子を食っていた。ばかやろう。
数日後、気温が安定してきたので仏壇にKOUBOのパンをまたお供えした。

ああ!どうしてまたあるんだパンが!!
と、舞台俳優のように腹から声を出して叫んでいた。嬉しい方の叫びだ。

今日、食べられる?
ワクワクしながら聞いてきたので「賞味期限を確認してみろ」とパンを差し出した。その時10月の中旬。パンの賞味期限は11月25日。

ええっ⁈どうしてそんなことが・・・
KOUBOのパンが家にあると楽しくて美味しくて仕方ない。父がこんなにもパンで一喜一憂し、そして私の膝が笑う瞬間多々訪れようとは。人生、その先どうなるかなんてわからないもんだ。
そしてKOUBOにベーグルが新商品として登場した。ベーグルは母との思い出のパンだ。もちろんその思い出はKOUBOのベーグルではないけど、母が自力で通院できなくなって以後、1年以上口にしていなかったベーグルと再会できた。私のテンションが凄まじく上がり、ベーグルだけ30個注文するという暴挙に出た。
もてあますかなぁと思っていたけど、マグカップスチームレンチン30秒でフカフカのベーグルが登場するもんで、11月25日の賞味期限のベーグルはもう1個も残っていない。

自由気ままに動けなくなった中年の娘と後期高齢者の父のふたり暮らしには、命綱としてパンが必要になる。火力も電力も必要とせずに開封してパッと食べられるものはとても大事だ。ロングライフパンとはいえ、初めて20個もの菓子パンを家に招き入れた時は「やりすぎたか?」と思ったけど、それは全く何のやりすぎでもなく必要不可欠な食糧であった。
結果、気温が落ち着いて再度お供えしたパンも父の腹の中に消えていった。いまは祖母の月命日に供えたクッキーを指さし確認して「まだある」と小さな声で呟いていた。娘に聞こえないように小さい声で言ったようだけど、聞こえていたからね。
来週はクリームパンが来るから(生協のだけど)待っていろ父。



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