誕生日

私の胸の内

生きていたらば幾つになったと
数を足して思うのは野暮だ

生きていたらば幾つになったと
指折り数えるのも野暮だ

生きていたらを繰り返すのは
あなたがこの世を去ったことになる

別れてしまった同じ道を
あなたと私で別々に
いつか交わるその日まで
あなたの時間は止めておく

あなたの分も託されたと
笑う父に願いを込めて
あなたの生まれた日に灯す
色の綺麗なローソクは
父の歳に重ねて灯す

そのかわり
もう歳をとらなくていいあなたには
朝に夕に
細い香に火をつける
すうっと天に昇りたつその煙に
私の気持ちを託して香を焚く

あなたが去った年月を数えるより
私はあなたが生きた証を辿る

いつか別れてしまった道が
以前と同じひとつに戻ったその時は
すべての重荷を手放して
あなたの元へ走ってゆくから

それまであなたの生まれた日は
思い出さずにおきましょう
父とふたりで暮らしましょう

  

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