会った事のない叔父。母の兄弟姉妹で、唯一私が顔を知らない叔父。
まさるちゃん。祖母が大切に口にしていた名前。小さい頃から眺めていた仏壇に、まさるちゃんはちょこんと座っていた。行年のない位牌。それが祖母の大事なまさるちゃんだ。
祖母の口から呼ばれるまさるちゃんは、まるでこの世にいるようだった。亡くなった人としてではなく、間違いなくこの世に生まれ立った人として、私は祖母からまさるちゃんの事を聞いていた。
だから私もまさるちゃんと呼ぶ。
まさるちゃん。まさるちゃんのねえちゃんが去年そちらに行きました。まさるちゃんのねえちゃんは私の母として沢山頑張ってくれたので、しばらくおかあさんを独り占めさせてあげてくださいね。
まさるちゃん。これからはあなたのねえちゃんに代わって、朝と夕のお線香は姪の私が引き受けます。
そして、まだ授かった命を懸命に生きているあなたの姉と弟を守ってやってくださいね。
戦後、間もなくして生まれた叔父まさる。あなたがもし生きていたならば、私はあなたとどんな言葉を交わしただろうか。もしあなたがまだ元気だったならば、あなたともLINEで話しをしたのかなあ。
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